05. 誤解だから
「んで、一体どうしたの」

レイアは慎重にジュードの顔色を窺った。
元々落ち着いた印象の彼だが、今日は落ち着きが暗さとなって現れている。
女性と見間違うほどの大きな瞳が下の目蓋に沈んで、彼は嘆息した。
重苦しい空気に耐えきれずストローでメロンソーダをかき混ぜると、氷がカラカラ音を立てはじめた。
それに呼応するようにジュードは重い口を開く。

「ミラが、アルヴィンとキスしてた」


液体を口に含んでいなくて良かったとレイアは心から、そう思った。

アルヴィンはジュードのミラへの恋慕の感情をよく理解している。
それをときにからかったり、面白可笑しくしてみたりはするが、ミラを奪い取るなどということはしないだろうというのがレイアの見解だ。
私生活は謎、裏で何をしているかも定かではない彼だが、これは断言できる。
レイアはクラス委員という立場や個人的な感情も合わさりジュードとは比べものにならないほど長い時間をアルヴィンと過ごしている。
でもまあ、私よりミラの方がずっと魅力あるもんなー、レイアは記憶の中のミラをたぐり寄せる。
容姿は人一倍大人であるが中身は少女のように可愛らしい。
そういったいわゆるギャップに心を打ち抜かれる男子生徒が後を絶たないらしいという話を何処かで聞いた。
ひとしきり笑った後、レイアは怪訝そうな顔をしたジュードに説明する。

「アルヴィンがジュードの気持ちに気付いてないとお思いで?」
「だって!放課後の!図書室で!」
「いくらそのシチュエーションでもねえ…たぶん、それアルヴィンにからかわれたんだと思うよ」
「……え?」


誤解だから
(いや、それはだって、ね…?)

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