はぴば!

好きだよ、って言うのが、むずかしくて。
出会った頃、学園で過ごした一年間ではわかるはずの無かったものを、春歌は最近少しずつ実感するようになっていた。
あの頃は全てが新鮮で、友達ができたことさえも奇跡に近くて――そこにいきなり表れた"レンアイ"の文字。胸のドキドキや頬の火照りも最初は何故なのかなんて全く理解できなかった。そもそも、それを自覚する前にも同じような現象を何度も起こしていたことさえ、翔曰く"鈍感""天然"の彼女には気付く理由もなかった。
二年前でさえも好きの二文字を言うのは試練であったというのに。

近くにいることは多いはずだった。たぶん、どんな作曲家よりずっと。
好きです、の方がまだ言えるかもしれない。でも、やっぱり敬語抜きで言った方が…。
思考は堂々巡りを繰り返す。


―――隣にいる彼。あと一分で彼の誕生日。プレゼントはソファの隣に隠して。

もうかれこれ三十分ぐらいこの沈黙が続いている。否、正確に言えば翔は仕事の疲れからか転寝をしていた。このまま寝かせて置いた方が良いのかもしれない。
ああ、でも。でも。

咄嗟にぎゅっと抱きしめる。見上げた顔と顔はいつもよりとびきり近くて。

「お誕生日おめでとう。翔、くん、…大好き…だよ?」

大好きとありがとう、だれよりも!

***
翔君の誕生日話になってしまった!
翔君六月ですが!
いつもありがとうなみこさんへ!いつでも大事な相棒です。