Sing


歌が、聞こえた。

本人の意志で自由に心地良く変わるリズムに狂うことのない音程。
懐かしいような、優しい歌声。誰もが惹かれるような旋律を奏でるのは、一体誰なのだろう。聞いたことのある声だった。窓の外を見ると、暖かい昼下がりにぽつんと一人木陰で歌う少女の姿があった。

「レイア、か」

そう呟くと、鳥が鳴いているような愛らしい歌声に引っ張られるようにして窓の外へ出た。ここは一階だ。越えることなど造作もないことだった。

「…アルヴィン?」

メロディが、不意に途切れる。人の気配を感じたレイアが歌うのをやめてしまったのだ。そのことを少し惜しく思いつつ、疑わしげな顔をしている彼女に話しかける。あまり人に歌を聴かれるのには慣れていないような、そんな感じではあった。

「窓から聞こえたんだ。レイアは歌、上手いんだな」
「う、うまいってほどでもないよ……でもまあ、あまり人に歌ってるのは聞かれたことないから」
「なんかもったいないな」
「だって、小さい頃に音痴だーって言われてから、めっきり歌いたくなくなっちゃって」
「小さい頃は小さい頃、今は今だろ」
「そうかな?」
「そうだよ。じゃあ、お嬢さん、一曲頼むわ」
「…ちょっと恥ずかしいけど、上手いって言ってくれたお礼ね」

彼女はゆっくりと息を吸うと、再び先ほどの歌の続きが紡ぐ。彼女らしく、明るくて、楽しくなる歌だった。レイアは目を閉じて澄み切った青空へ向けて、歌っていた。それが歌声と調和して包み込まれるように癒される。きっと他の誰も知らない、彼女の特技。自分だけがこの歌声を、事実を知っていると思うと何故か胸が高鳴る。

曲が終わる。

「ありがとな」
「こちらこそ聞いてくれて、ありがとね!」
「…ところで、その曲の題名って何だ?聴いたことがない曲だったんだけど」
「うーん…秘密、かな」


あとで知ることになる、その曲の題名は―――。






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レイアちゃんの中の人ネタです。
曲名はあなたの思うままに…です!