「君の協力が必要なんだ」
「お断りね、そんなの。誰が騎士団の調査協力なんか……」
昔、正確に言えばエステルやユーリに会う少し前に言い放った言葉だ。こうして、昔のことを思い出すのはこの言葉を言ったことを後悔しているからだろうか。いや、断じて違う…と思いたい。少なくとも前は、騎士団を追い払ったと思えば今度は盗人扱いされて、本当に不幸だと思ったことを覚えている。けれど、あの旅で悪くないものもあるんだってことに気がついたし、解明できた問題もたくさんあったし、なによりもあいつらに出会えたから(口が裂けても言えないが)、まあ、良かったと思う。断ったことでみんなに会えたと言うのなら、今の自分は後悔していない…はずだ。
「あ、リタ」
急に呼ばれて顔を上げると、そこにいたのは自分の予想もつかない人物だった。帝国の騎士団長でもあり、一緒に戦った…仲間だ。相も変わらず重たそうな甲骨を着てはいるが、その大変さを全く感じさせない、変に爽やかな奴。第一印象は、自分とは天と地のようにタイプが正反対だから話してもしょうがない、と思ったのも覚えている。
たぶん相手も自分のことを苦手なタイプだと思っているだろう。何しろ初対面が最悪だ、と先ほどの言葉を思い浮かべて思う。そんなお世辞にも愛想がいいとは言えない自分に無理に話しかける必要があるのか、全く理解できない。
「……騎士団長様がこんなとこでふらふらしてていいわけ?」
「…それを言われるとちょっと辛いかな。まあ少し休憩、ってところだよ」
「隣、いいかな?」
「……どうぞ」
良かった、そう言うと彼は自分の隣に座った。ちょうど足の方を見ると距離が近くて少しだけ、少しだけ焦る。顔全体が少しあったかくなってくるのを今日の気温のせいにして、短い服をぎゅっと掴む。逃げ出してしまいたい。そんな気持ちに駆られる。言ってしまえばエステルと雰囲気が似ているのに、こちらの方は自分の歯車が狂うようでどうも苦手だ。そんな風に押し黙っていたからなのか彼から口を開いた。
「…リタはさ、僕のこと、嫌かな?」
「…は?どうして急にそんなことが出てくるわけ?」
「手、少し震えてるし、なんとなく思ったんだ」
「……嫌いじゃないわよ…あ、あんたの方が…嫌いだと思ってたけど、あたしのこと」
「嫌いじゃないよ。むしろ、好き、かな」
「な…!何言ってんのよ、馬鹿じゃないの」
「ははは、そうだね」
鼓動は思うより正直で
(大きく波打った音は聞こえないふりを、した)
フレリタ二個目です。リタはフレンに嫌われてると勝手に思い込んでそうだと思ったので。あとフレンはそういうことをさらりと言える人だと俺得です。
リタ受けは本当に好きなので機会があったらユリリタもレイリタも書きたい。
[2011年 03月 21日]